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INTERVIEW
400文字の夢のつづき 第6回 ~数学学習のアップデートでAI×データ時代のリーダー輩出へ~

近藤 啓太さん(2020オーディエンス賞/創業準備中)

連載インタビュー『400文字の夢のつづき』は、TOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)出身起業家の皆さんに、取り組まれているプロジェクトや起業までのストーリーをお伺いしていきます。
エントリーを検討されている方、そして、幅広く起業をお考えの皆さんのヒントになるはずです。
第6回目は、近藤啓太さんです。

「この数式って将来何の役に立つの?」の疑問に答える数学学習。

ー自己紹介をお願いします

TSG2020をきっかけに、数学教育を通じてAI×データ時代のリーダー輩出に貢献すべく起業を決意しました。政府系金融、外資系コンサルを経て、現在、起業と家業経営の二足の草鞋を履いて活動しています。TSGには、「この数式、将来なんの役に立つの?」と感じていた自身の学生時代の経験等から、「実社会の課題解決から逆算して数学を学ぶサービス」の着想を得てエントリーしました。決勝大会にてオーディエンス賞を受賞。起業準備を進める中で出会った仲間とともに、今夏の事業化を目指して「数学ブートキャンプ(仮称)」のモニターテストを鋭意実施中です。

ー事業について教えてください。

AI×データ時代の数学学習をアップデートする」というテーマを掲げています。
学生時代、数学を勉強しているときに「この数式って将来何の役に立つの?」と思ったことはありませんでしたか?私自身も同じようなことを学生時代に考えたことがありました。しかし、実は中学、高校で学ぶ数学は、ビジネスや社会の課題解決に役立つものばかりです。これからはAIの時代だと言われますが、AIの最も基本的な仕組みは、中学高校で学ぶ一次関数、二次関数、微分といった数学で説明することができます。しかし、学校では数学がどこでどう役立つのかということは教わりません。「受験のため」と割り切って学ぶことが大半ではないでしょうか。私はこうした学び方を変えていきたいと考えています。実社会の課題解決というゴールから逆算して学べば数学学習の景色は一変するのではないかという仮説をもっています。
そして、現在は、まさに数学を実社会の課題解決に駆使するAIエンジニアたちと数学教育の新しいカタチを作ろうとチャレンジしています。具体的には、中学数学の基礎からAI・データ分析まで体系的に学べる動画教材やコーチングを提供するサービスをつくっています。昨年末から本格的にモニターテストを開始しました。これまで文系・理系問わず、延べ50名以上の多様なバックグラウンドの方々に対しサービスを提供し、テストレッスンの実施回数は200回を超えました。モニター様からは「数学ってこんなに役立つんだ」、「意味も分からず公式を覚えていた学生時代に戻りたい」、「子どもに数学の大切さを伝えたい」等の声を頂いています。現在のモニターテストがひと段落する今夏には正式リリースと法人化を目指しています。

一番ビジネスとしてはうまくいくか確証がなかった「 数学の学びを変えたい」という思いを400文字にした。

ーTSGに参加したきっかけを教えてください。

実は、TSGについては数年前から電車広告を見かけて知っていました。当時から漠然と起業にチャレンジしてみたいという想いは持っていました。ただ、具体的に何をテーマにやっていくのかということは決まっていませんでした。それに加えて、会社でチャレンジしたい仕事もあったため、参加の見送りが続いていました。そうした中で、昨年、ちょうど会社員としての仕事に一区切りをつけたことをきっかけに、真剣に起業と向き合うことを決めました。TSGはアイデア段階からでもエントリーが可能で、参加プロセスの中でビジネスプランをブラッシュアップしていけるので、私自身も「まずはTSGにエントリーしてあとは走りながら考えていこう」と思っていました。
ただ、エントリーを考え始めたときに、具体的なテーマが1つに絞り切れているわけではありませんでした。そんな中、ホームページで審査基準を眺めていたときに、「アントレプレナーとしての熱意」というキーワードが目に留まりました。その時に「ビジネスとして儲かりそう」といった損得勘定でテーマを選ぶのではなく、「他人に任せるのではなく、自分がやりたい」と熱意が湧いてくるテーマを選ぶことの大切さに気付きました。そこで、正直一番ビジネスとしてはうまくいくか確証がなかった「数学」をテーマにすることを決めました。そして、ひとまず「数学の学びを変えたい」といった想いを400字に書いてエントリーしてみました。

TSG2020でオーディエンス賞を獲得した近藤さん

ーTSGに参加されて、どのような出会いがありましたか?

まず、参加していなかったら現在のチームメンバーたちとは出会えなかったと思います。例えば、TSG2020から二人三脚で伴走してくれた現役AI開発エンジニアのチームメンバーの存在は大きいです。彼とは、共通の知人を介して出会ったのですが、そもそも知人に紹介をお願いしようと思ったのも、TSGに参加しアイデアをブラッシュアップしていく中で、彼のようなスキル、経験をもった人とチームを組む必要があると気が付いたからです。また、その他のメンバーたちもTSGの決勝大会への出場や、東京都が後援されたテレビ番組への出演をきっかけに出会うことができました。
また、TSGのメンタリングデイというイベントでは、起業家の大先輩の方々にビジネスアイデアをプレゼンし、ブラッシュアップのヒントを頂くという機会がありました。そこで特に印象に残っているのは、「アイデアなんか誰でも出せる。大事なのは実行しきれるかだから」という言葉です。400字から始まるTSGですが、最終的にアイデアをカタチにできなければ価値は生まれないということが強烈に意識下に叩き込まれ、愚直にモニターテストを繰り返すきっかけになりました。そして、ある大先輩起業家の方には、イベント後も継続して壁打ちの機会を頂けたことで、ビジネスプランもプレゼンテーションも当初より、圧倒的な進化を遂げることができました。本業で多忙を極める方にもかかわらず時間を割いて真摯に向き合って頂き、その方には感謝してもしきれません。

ー近藤さんにとって、TSGはどんな価値がありましたか?起こった変化や気づきなどがあれば教えてください。

起業に踏み出すきっかけになったのはもちろんですが、会社員時代に味わったことがなかった「仲間と出会う喜び」を何度も感じられました。起業に挑戦し始めた当初の私は、例えば教育関係の仕事をした経験もなければ、数学を駆使したAI開発経験もない等、まさにないものだらけでした。
しかし、目指すサービスを創るにはそれらの経験を補う仲間が絶対に必要でした。仲間集めのためにしたとこが、自分が実現したいと思っているビジョンを言語化し、それを分かりやすく伝えることでした。TSGに参加し、これを何度も繰り返していく中で、そのビジョンに心から賛同してくれる仲間が一人二人と増えていき、同じ夢を一緒に挑戦できる人と出会えることがこれほどまでに嬉しいのかということを知りました。
人生は人との出会いで変わるとはいいますが、TSGでは人生を変える仲間との出会い方を学べたのではないかと思っています。

数学についてのイメージを一掃したい!

ー今後、実現したい世界やビジョンについて教えてください。

「数学って勉強する意味なくない?」を一掃し、AI×データ時代のリーダー輩出に貢献していきたいです。

ーこれから起業を考えている方や、エントリーを検討している方に向けてメッセージをお願いします!

不完全で不格好でも構わないので、ご自身が考えているアイデアを実際にカタチにしてみて、誰かに体験してもらうことを早めにやってみると良いと思います。私の場合は、実際に友人たちに、半ば強引に数学を教えてみて、そのフィードバックから「これはチャレンジする価値があるかもしれない」という感触を初期段階で得ていました。
起業に挑戦し始めると、どこかのタイミングで「そんなサービス誰も使わないよ」という悪魔のささやきが聞こえてきます。もちろん私自身もまだ正式リリースにたどり着いていないので、このささやきが聞こえてくるときがあるわけですが、実在する「あの人」に喜んでもらえたという確かな手ごたえがあれば、そこで挫けずに踏ん張れたりします。

最初の400文字

近藤さんがTSG2020で提出した、最初の400文字は、こちらとなります!
是非皆さん、TSGにエントリーする際に参考にしてみてください!
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「この勉強、なんの意味があるの?」と思ったことはありませんか。 私自身、学生時代、将来なんの役に立つのか分からないドリル勉強が苦痛でした。 いまの学校教育では、例えば、三角関数がiphoneなどのものづくりの基礎であることは教わりません。二次関数でAIが動いていることも教わりません。つまり、誰もが一度は感じる疑問にきちんと向き合える環境になっていないのです。 では、例えば、「AIプログラマーが教える高校数学」という授業があったら、どうでしょう。生徒たちが普段から触れているアプリケーションを、高校数学で解説してみる。このトレンド機能は微分方程式で動いているんですよ、と。そして、最後に一緒にプログラムを書いてみる。数学に対する見方ががらっと変わるはずです。 「この勉強、なんの意味があるの?」、そんな疑問に真摯に向き合う新しい教育サービスを創造し、ひとりひとりの好奇心が爆発する未来をつくります。
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[ PROFILE ]

近藤 啓太さん(2020オーディエンス賞/創業準備中)

TSG2020をきっかけに、数学教育を通じてAI×データ時代のリーダー輩出に貢献すべく起業を決意。政府系金融、外資系コンサルを経て、現在、起業と家業経営の二足の草鞋を履く。TSGには、「この数式、将来なんの役に立つの?」と感じていた自身の学生時代の経験等から、「実社会の課題解決から逆算して数学を学ぶサービス」の着想を得てエントリー。決勝大会にてオーディエンス賞を受賞。起業準備を進める中で出会った仲間とともに、今夏の事業化を目指して「数学ブートキャンプ(仮称)」のモニターテストを鋭意実施中。

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