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INTERVIEW
パパママ起業家の歩み 第4回 ~探究のグッドプラクティスで教育を変える~

今村 亮さん(2019ファイナリスト/ディスカバ!コーディネーター)

連載インタビュー『パパママ起業家の歩み』は、TOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)出身パパママ起業家の皆さんに、取り組まれているプロジェクトや起業までのストーリーをお伺いしていきます。
エントリーを検討されている方、特に、子育てをしながらの起業をお考えの皆さんのヒントになるはずです。
第4回目は、今村亮さんです。

答えの無い問いに向き合うことで高校生が成長

ー自己紹介をお願いします。

1982年熊本市生まれの今村亮です。学生時代に教育を志し、高校生のための教育改革支援をライフワークとしてきました。凸版印刷、認定NPO法人カタリバを経て2019年に独立。桜美林大学と立ち上げた「U-17 university ディスカバ!」を法人化するためにTSG2019にエントリーしました。順調に勝ち進むも、ファイナルで高校生起業家に敗退したことは、むしろ今では良い思い出だと思っています。

ー事業について教えてください。

ディスカバ!」では、高校生が日常では気づけない新しい可能性と出会うことができる様々な教育プログラムを展開しています。大学で学ぶカリキュラムに近いことから、いわばU-17 Universityということもできるでしょう。
具体的には「ディズニーの新商品を開発せよ!」「学校に隠れたジェンダー格差とは?」「STAY HOMEしたくなる広告をつくろう」などのプログラムを実際に展開しています。高校生は、自分が関心を持てるミッションを自発的に選択し、答えのないミッションに取り組み、大学生メンターがそれを支援します。
必ずしも上手な結論を導けなくてもいいのです。困難な課題に向き合い協働して取り組んだ経験が、高校生を成長させていくのです。
実はこれらはすべて大学の学問分野に関連したミッションです。「ディスカバ!」は東京の私立大学である桜美林大学と連携したプロジェクトとして誕生し、全国へと拡大しています。2020年度は2500人が参加し、2021年度は1万人に迫る勢いで広がっています。

高校生起業家に負けた決勝大会

ーTSGに参加したきっかけを教えてください。

私が参加したのは2019年です。実は2020年は、「戦後最大の教育改革」が起こる年と言われていました。たまたま私の愛する一人息子が小学校へ上がるのも2020年でした。この子はいったいどんな未来の教育を生きていくのだろう。未来の教育を私が準備することはできないだろうか。
そんな重要な節目に向けて独立し、「ディスカバ!」のトライアルをはじめ、事業の仕込みを行っていたタイミングで知ったのがTSGです。学生時代から尊敬している先輩から紹介してもらったのがきっかけで知りました。とりあえずエントリーしてみるか!と思い最終日ギリギリに400字を投げ込んだのをよく覚えています。

ーTSGでは、どんな出会いがありましたか?

想像していた以上に多様な方々と出会うことができました。セミファイナルで出会った「エロインフルエンサー」としてSNSで活躍しているある女性が「会社に秘密で来ました」とおっしゃった時は度肝を抜かれました。また、今でもTSGで出会った方々と仕事や家族ぐるみでお付き合いが続いています。30代なのに同期ができたという感覚。とても嬉しかったですね。

ー記憶に残っている参加中のエピソードはありますか?

「高校生のため」の教育を志す私の起業プランが、決勝大会で高校生起業家に負けたことは、むしろラッキーな終幕だったと思っています。すばらしい高校生がどんどん誕生していることは、教育改革が成功しているからこそですもんね。とか言いながら、終了後に会場近くの中華料理屋で悔し酒を飲んだのは良い思い出です。それから、出川哲朗さんにお会いできたのは非常に嬉しかったです。出川さんの周囲はみんなが笑顔になりますね。私のロールモデルです。

2019年度のファイナリスト10名。中央の両手を上げているのが今村さん。

育児を優先しつつ同期が出来て冒険も出来た1年間

ー育児に取り組みながらTSGに参加する上で、工夫したポイントを教えてください。

本音を言うと、TSGへの参加が負担になったという印象はほとんどありません。TSGのプログラムは、参加したい人にはたくさんのプログラムが用意されていますが、参加強制のプログラムが少ないので、育児優先で時間をやりくりすることができました。
よくよく思い出してみると、各ステージでの合否通知後、土曜のプログラムに招集されることが多かったので、子どもの預け先を確保する手間はありました。保育園が柔軟に土曜保育に対応してくれたことはありがたかったですね。

ー今村さんにとって、TSGはどんな価値がありましたか?起こった変化や気づきなどがあれば教えてください。

私の独立は36歳です。経験こそ積みましたが、守るべきものも増え時間的制約も多く、冒険もしづらい時期です。だからこそ起業という選択肢を後悔しないよう、踏ん切りをつける。それができたのはTSGのおかげです。
特にTSGの決勝大会の前日、仲間たちに夜中までプレゼン練習に付き合ってもらったのは忘れられない思い出です。プレゼンが磨かれていくにつれ、こんな歳でも自分はまだまだ成長していけるんだなと実感しました。TSGというステージがあって、そこで誰かが応援してくれるからこそ得られた変化です。

教育改革のキーワードは「探究」

ー今後、実現したい世界やビジョンについて教えてください。

今わが国は、戦後最大の教育改革を進めています。キーワードは「探究」です。不確かな未来を生きる高校生たちが、自分の可能性に出会い、未来の可能性を探索するための教育改革のコンセプトに私は賛同しています。ただし現実は、設計図どおり進んでいるとは言いがたい状況があります。いくらコンセプトがよくとも学校現場のオペレーションが追いつけないのです。しかも、新型コロナの影響もありました。
だからといって制度を嘆き文句をつけるのではなく、現場から変えていけることがあるはずです。私は高校と大学が連携する「探究」のグッドプラクティスをつくることで、現場から全国へと風を吹かせていきたいと考えています。

ーこれから起業を考えている方や、エントリーを検討している方に向けてメッセージをお願いします!

ぶっちゃけ、それほど大きな決意は不要です!まずは軽い気持ちでエントリーしてみてもいいのでは?パパママだって、やりたいことを応援する自由があります。人生は長いんだから、自分を役割に縛っても仕方がない。未来を描くパパママを、家族や保育園はきっと応援してくれますよ。
たった400字。私たちはあなたを待っています!

最初の400文字

今村さんがTSG2019で提出した、最初の400文字は、こちらとなります!
是非皆さん、TSGにエントリーする際に参考にしてみてください!
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未来の予測が困難な時代が訪れました。社会の変化に応じて、2020年に戦後最大の教育改革がついに断行。センター試験は終了し、教科の名前も大きく変わっていきます。 改革のキーワードは、自ら問いを立て学ぶ「探究」です。残念ながら「コンセプトが良くても現場がついてこない」と言われがちなのが日本の教育。今回もその恐れが否めません。高校の先生方は多忙のあまり対応できず、高校生は不安を膨らませるばかりなのではないか。 だから私はこの春独立し、教育改革が照らす未来の象徴となる教育プログラムをつくり始めました。 ①高校の授業で活用される探究学習ツール ②高校生が学校を飛び出して参加できる場 これらを良質な形で、しかも安価で提供できないか。そのための重要なステークホルダーが大学です。私は桜美林大学とのパートナーシップを通して、トライアルを始めました。 これを全国また海外へ展開するのが私の夢です。
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[ PROFILE ]

今村 亮さん(2019ファイナリスト/ディスカバ!コーディネーター)

1982年熊本市生まれ。学生時代に教育を志し、高校生のための教育改革支援をライフワークとする。凸版印刷、認定NPO法人カタリバを経て2019年に独立。桜美林大学と立ち上げた「U-17 university ディスカバ!」を法人化するためTSG2019にエントリー。順調に勝ち進むも、ファイナルで高校生起業家に敗退したことは、むしろ良い思い出だと思っている。

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