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REPORT
先輩のSTARTING LINE -第12回- 個性的事業の伴走役が教える ユニークネスの磨き方

森住 理海さん(株式会社スマイルズ 事業部長)

図5

『先輩のSTARTING LINE』は、自分らしい生き方・働き方の実践者たちが、どのようにはじめの一歩を踏み出し、トライ&エラーを重ね、今に至るのかに迫った連載シリーズです。

段階を踏んで、前進してきた“先輩方”のエッセンスが凝縮された内容となっていますので、「いつかやってみたい」を「いまやっている」に変えていきたい、「やりたいことが見つからない、まとまらない」、「やりたいことを本当にやって良いのか?」、そんな疑問に対するヒントを得てもらえたらと思います。

第12回は、株式会社スマイルズ 事業部長の、森住 理海さんの記事となります。ぜひご覧ください。

※本連載シリーズは、TOKYO STARTUP GATEWAYビジネススクール連続講座 「スタトラ」 の中で行われたコンテンツ「先輩訪問」のレポート記事となります。


スマイルズで働くまで

―まずは自己紹介をお願いします。

同志社大学で就職活動をする前に、自分のアイデンティティを考えた時に就職する先は、食品に携わること、関西に本社があること、新しい成長する分野であることの3つを決めました。そして神戸が本社のロック・フィールドという惣菜屋に就職しました 。入社4年目に東証一部になったように、バブル崩壊後でしたが、ひたすら成長あるのみの会社でした。

入社してから3年、東京での新規事業立ち上げの担当者になりました。0から16店舗でまで惣菜の新しいモデルを成長させたのですが、5年で0になりました。

中にいると店舗を出店していても儲かってないことが分かっていたので、自分はその場所にいない方がいいのかなと思い転職活動をしていた時がありました。ある人に相談したら「それだけ現場でやってきたのなら、ちゃんとビジネススキルを学んだ方がいいよ」と言われたのがきっかけで、創業黎明期のグロービスに行きました。MBAを修了する前ぐらいから、自分の可能性を試すために社長の近くで働ける環境に行こうと考え、当時はSoup Stock Tokyoしかなかったスマイルズに入りました。入社後Soup Stock Tokyo機内食事業の立ち上げから、いくつかの事業の立ち上げ&立て直しなどを経て、今に至ります。

―今森住さんはスマイルズにて、主に何をされているんですか?

今は十数個ある関連会社全てを見ており、各事業における価値 づくりや収益構造の見直しを行うなど、経営者の相談役として伴走するのが僕の仕事です。

図4

本来は避けたい相手と話すことで、 自分の事業を見つめ直す

<以下参加者質疑応答>

Q:やりたいことを周囲に主張すると批判されてしまうことが多く 、次にどのような行動をとれば良いのか今悩んでいます。何かアドバイスをいただけないでしょうか?

自分の中にやりたいことの必然性があって、自分が納得していて、1個1個やっている理由が自分の中で整理されていれば、「人がどうこう言おうが関係無い」という感じで進められると思います。失敗するかもしれないけど、ちゃんと次の一手を自分の中で決めて行動する必要がありますよね。

Q:事業にユニークさを出していくには、何をすれば良いのでしょうか?

僕は、自分たちが新しいことをしようとしている事業は今のプレイヤーと、あえて仕事をしないように意識しています。既存のプレイヤーと仕事をして、いままでこうだったからと否定されるのは嫌だからです。自分たちの思いの中で立ち上げるので、「ここを踏むとよくないんだ。でもそれって何のためにやってるのかな?」と考えていくと、自分たちの新しい方の独自性がより鮮明 になるし、そこで勝負する意思も固まります。業界にはしがらみ等があるので、相反する方に頭を思いっきり突っ込むことで、独自性は見えてきますよね。

一方で似たような専門家に会い、徹底的に喋ることですかね。 自分のアイデアが本当に面白いかどうかが研ぎ澄まされます。考えていたことを話すと、「こんなメリットがあるよ」「こないだはこの例で失敗しているよ」とか、色々教えてくれるんです。自分が独創的、斬新と考えているものは、大半は誰かがすでにやって失敗しているので、先駆者の失敗例の要素を知るのは、大きな意味がありますよね。

あと特に最近では、年配の人や若い人と話すようにしています 。感覚が全然違う人達とも、あえて話していますね。

Q:サービスのターゲットを想定していく上でのアドバイスをいただけますか?

自分が形作りたいもののプロトタイプができているのであれば 、まずは自分がやるサービスをテスト的にどんどん広げていくのが良いと思います。僕だったら全然異なるいくつかの市場領域に自分が作ったプロトタイプを投入して、感触を試してみます。 あえて意識して違う3つの市場でやるんです。例えば銀座で森岡書店という1冊の本屋さんをやっていますが本でも、最初から森岡書店という1冊の本屋と代官山の蔦屋と地元の本屋で発売会を3 回とかやってみると、成功と失敗の仕方をいくつか学べますよね 。コンテンツ内容がよかったら3つやればどれかでお客様が評価してくれます。それが、小さくやっていくか、期間限定でやっていくかのどちらかなんですよね。

3つの場所でやってみて、一番うまくいくパターンはどれかと考えてみれば良いと思います。

図3

―最後に参加者の皆様へエール又はメッセージをお願いします。

最近瀬戸内海に浮かぶ800人の離島で「檸檬ホテル」の事業を進める中で、学んだことです。東京から移住しあ支配人夫婦がいるんですが、「檸檬ホテル」という作品をただ運営するとかではなくて、島の島民と人とがちゃんと何かあっても話すことができる環境が大切ということを感じています。自分としては支配人夫婦が話をしたりするきっかけを作るということが大切であり、それができていないとスマイルズの事業もが成り立たないということが分かってきたんです。

新しく始める力も大切ですが、継続をどうできるかを考えられる力の方が最近は大切なんじゃないのかなと思っています。その時に考えるポイントは、本人がやりたいという意思と、自分がやってるビジネスで安心と安全が担保できるか、ということなんですよね。人と人とのつながりって、身近な人からお客様、そして家族とどこかで共感や安心安全ができる環境をつくることできたら、きっと事業として長く続くんだというのは、 最近すごく意識して行動しています。

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PROFILE

森住 理海さん(株式会社スマイルズ 事業部長)

1973年生まれ。同志社大学卒業後、96年株式会社ロック・フィールドへ入社。99年オフィスミール事業立ち上げに携わる。07年スマイルズ入社、08年Soup Stock Tokyo*JAL機内食事業立ち上げ。 08年より(有)ジラフより株式を全取得し、事業部長として事業再生に携わる。 09年よりPASS THE BATON事業立ち上げ、17年まで事業部長。 16年スマイルズ初のホテル檸檬ホテル立ち上げ、 現状は、10社以上あるスマイルズ関連会社とともに共感を生むビジネスに携わっている。グロービスオリジナルMBAプログラム2008年卒業。

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