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INTERVIEW
お祝いに特化したプラットフォームを通じて、誰かを喜ばせ救いたい。

山本 珠鈴さん(2021セミファイナリスト/Orebi合同会社 代表)

昨年度から始まりました 連載インタビュー『400文字の夢のつづき』。
2022年度は通年でTOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)出身起業家の皆さんに、
取り組まれているプロジェクトや起業までのストーリーをお伺いしていきます。
エントリーを検討されている方、そして、幅広く起業をお考えの皆さんのヒントになるはずです。
それでは、山本 珠鈴さんのインタビューです。

クリエイターであり続ける人生。

ー簡単に自己紹介をお願いします。

大学では消費者心理学やリーダーシップ論を研究しながら、外部で音楽活動をしていました。楽曲やライブチケット、グッズを販売したり、編曲やレコーディングの依頼を受けたりと、小規模ですがビジネス活動を経験していました。

大学卒業後はM&Aの仲介会社や東証一部上場のIT企業を経て、広告代理店業を営む企業内で新規事業開発をしています。ここでは音楽アーティストを支援する広告サービスを開発しています。

また、昨年12月にOrebi合同会社を立ち上げ、自身の事業開発にも勤しんでいます。

ーちなみにプライベートではどんな方ですか?生活スタイルや好きなものについてぜひ教えてください!

何かを作ることが好きな人間です。楽曲や動画を作ったり、アクセサリーを作ったり。最近は香水を作ることにハマっていて、香料や道具を爆買いしているので家が実験室のようになっています笑

その話を周りの人にしていると「作ってみたい」と言う人が意外と多くいることに気づいて、セルフ香水キット販売したら自分の事業にも繋がりそうだしブランディングの勉強にもなるし面白いんじゃないかなと、ビジネス的な視点でも考えています。

事業作りも含め、生涯何かを生み出し続けるクリエイターでいたいな、と思いながら生きています。

 

お祝いは、無条件の存在肯定をすること。

ー今、仕掛けている事業のミッションや活動内容を教えてください。

お祝いの価値を再定義することを目標に、お祝いに特化したプラットフォーム「Orebi (オレビ)」を作っています。ミッションは、“プラスをプラスに” を掲げています。
Orebiは、ギフトとコース料理をまとめて購入でき、購入したギフトをレストランへ直接配送する新しいECプラットフォームです。お祝いしたいと思った最初から最後までの複数フローを一つにします。

ー取り組まれている事業・プロジェクトをやりたいと思ったきっかけを教えてください。

私はお祝いをする慣習のない家庭で育ちました。家族からお祝いされている友人を羨ましく思う時があるくらい、私の誕生日はただの日常であり、それに慣れていました。しかし、高校生の頃にクラス全員からバースデーサプライズをしていただいた経験から、お祝いの価値を知りました。

そこから、「誕生日のお祝い=無条件の存在肯定」だと考えるようになりました。その人だけのお祝いをしてもらえる誕生日は、資格を取得したからとか大学に合格したからといったような条件付きの肯定ではなく、何かをしたわけでもないのに「おめでとう」「いつもありがとう」と伝えてもらえる唯一の日なのです。これは、一年のうち一度の愛されている・必要とされている実感を得られる体験ですし、お互いの忘れがちな感謝や信頼関係を再確認できる体験でもあります。

ただ、日々の生活に忙殺されてその重要性を軽視してしまうこともありました。大切な友人の誕生日に、お祝いの面倒さを感じてしまったのです。メッセージプレートが可愛いお店を選びたいのにグルメサイトにもSNSにも写真が載っていないために数日間決められなかったり、平日夜のお祝いでは職場にギフトを隠し持っていかなくてはならないためくしゃくしゃになってしまったり。伝票やお会計を見られる際相手に気を使わせてしまうことにも敏感になってしまいます。

お祝いの重要性を理解しているのにも関わらず、その友人はとても大切な人なのにも関わらず、面倒だと思ってしまった余裕のない自分が嫌になりました。でもこの面倒さは仕組みで解決できます。

「きっとお祝い準備を面倒と思ってしまう人は私だけではないだろう、もしかしたら両親の本音もそうだったのかも?」という仮説のもと、男女64名にアンケートを行ってみると、53%の方が面倒と感じたことがあると回答していました。半数以上です

それであれば、日頃からベースに抱えている感謝の気持ちを相手の誕生日のタイミングで一気に引き出してあげることができれば良いですよね。準備段階の障壁を減らし、抱えていた感謝の気持ちを100%そのまま表現できるようにしよう。そう考え、お祝い準備をサポートするサービスを開発するに至りました。

 

TSGへの2度目の挑戦で、事業と自分のブラッシュアップ。

ー起業したいと思った時期はいつですか?また、TSGに参加しようと思った時の状況や参加した理由を教えてください。

経営学部の大学にいたということもあり、学生時代から事業アイディアを考えることが好きだったので、将来自分は起業すると漠然と思っていました。ただ本格的に事業化を進めようとしたのは大学卒業直後の2020年夏で、その時は「誹謗中傷を無くすためにクリエイター専用の有料SNSを作る!」と意気込みTSGに応募していました。

しかしマネタイズの設計に課題がある上に競合優位性を言語化できないという、致命的な事業アイディアのレベルの低さを感じ、エントリー審査通過後に辞退してしまいました。

そのやるせなさがあったので、2021年のTSGは受けないわけがないと思うくらいにエントリー受付を待ち望み、応募しました。
実際に起業をした理由は、TSG参加時にtoB営業をしてみたところ、「法人でない」という理由によって話を聞いてもらえなかったという苦い経験があったからです。

また、起業家の友人から「起業のハードルはそんなに高くない、作ってから色々考えろ」とアドバイスを受けたことも影響しています。

ー山本さんの人生において、TSGはどんな価値がありましたか?起こった変化や気づきなどがあれば教えてください。

事業はもちろん、自分のブラッシュアップができたことに大きく価値を感じました。
最初は起業志望の人たちに門戸が広いTSGですが、First Stage、Second Stageと審査が進んでいくにつれて、行動力と志が高い人たちばかりが残っていったように感じています。

毎回の提出課題によって、事業に対する行動量の可視化や自分の過去から未来の深掘りができるので、初期の知識量に関係なく勝手にブラッシュアップされていきました。
生活の9割は事業や自己について思考していた気がして、まさに”没頭”していたと思います。それを語っても変な空気にならない起業同期がTSGにたくさんいたことも、幸せでした。

TSG参加からしばらく経った今、当時想定していなかった様々な課題に直面しており進捗が芳しくないこともありますが、TSGの審査書類やプレゼン資料を見返してやる気を奮い立たせています。私の中でTSGの影響力はすごいです。笑

ーTSGに参加されての出会いを教えてください。

多くの起業家の卵たちと出会い刺激を受けましたが、事業に相互作用をもたらす友人と出会えたことが一番の財産でした。今でも応援し合える関係性なので、精神的に参ってしまった時にもその友人のお陰で自分を奮い立たせることができています。

また、起業する際にお世話になったのは、TSGでメンターをしてくださった株式会社エスティームの和田さんです。おすすめの金融機関や税理士さん、融資制度といった情報を教えてくださったり、審査についてお話を聞いてくださったりと、思いやりのある方でとても心強い存在でした。

ー記憶に残っているTSG参加中のエピソードはありますか?

東京都の副知事、宮坂学さんとお話しさせていただいたことがとても記憶に残っています。
東京都のコンテストに参加したという小さな一歩だとしても、自分がもっと社会に影響を与えられる人になれば、宮坂さんのような憧れの人たちに会える可能性が増すかもと奮い立たされたので、モチベーションが上がるきっかけになりました。
ド緊張しすぎて伝えたかったことが伝えられなかったので、またお会いできた時は成長していたいです、、笑

 

「人を喜ばせたい」が、やりたいことであり生きる意味。

ー今後実現したい世界やビジョンを教えてください。

私自身がお祝いによって肯定感が高まり、救われた過去があるので、「お祝いで人を救うことができる」という認識を多くの人が持つ未来を実現したいです。
Orebiのインスタグラムでサービスの公開をお知らせする予定なので、ぜひフォローをお願いします!

ーこれから起業を考えている方や、TSGのエントリーをされる方に向けて、メッセージをお願いいたします。

自分が生きる意味を考えたことがあるでしょうか。
あるいは、明日死ぬなら今やりたいことはなんでしょうか。
私は、「人を喜ばせたい」という利己的な思いが生きる意味であり、やりたいことです。

人の存在に価値の優劣はないけれど、誰かを喜ばせた・誰かの役に立った回数が多い人は価値を生み出している人だと思っています。そんな誰かに感謝される人の元に富が集まるのは必然なので、起業して富を得ようとする気持ちすら素敵なことだと思って欲しいです。

イーロン・マスクさんやファーストリテイリングの柳井さんなどの富豪起業家たちを思い浮かべると、「自分とは住む世界が違う」、「自分には関係ない」と、距離を感じてしまいますが、ただ、そんな凄い人たちも同じ人間です。誰かを喜ばせていれば近づけないことはないと思います。
それがビックマウスだと言われたとしても、その人が自分の人生を生きてくれるわけじゃないし、誰かに迷惑をかけることでもありません。

「自分が日本を変えてやるんだ!」という大きな気持ちを持てなくとも、小さなことから人を喜ばせる仕組みを作っていく人が日本に増えていけば、本当の「おもてなしの国」になれるのではないでしょうか。

そして、あわよくば起業家の友人をたくさん増やしたいと思っていますので、TSG関連で聞きたいことがあればぜひFacebookやTwitter等でご連絡ください!
私もまだまだですが、一緒に頑張りましょう!

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[ PROFILE ]

山本 珠鈴さん(2021セミファイナリスト/Orebi合同会社 代表)

大学で消費者心理学やリーダーシップ論を研究。外部では音楽活動をし、楽曲やライブチケット、グッズ販売、編曲やレコーディングの依頼を受けるなど、小規模ながらビジネス活動を経験。 大学卒業後はM&Aの仲介会社や東証一部上場のIT企業を経て、広告代理店業を営む企業内で新規事業開発に携わり、音楽アーティストを支援する広告サービスを開発。 昨年12月にOrebi合同会社を立ち上げ、自身の事業開発にも勤しむ。

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