起業する、経営する、その本質に迫るリアルな環境がある。
計良 陽介さん(2014セミファイナリスト/TH_READ 代表)
仕掛けている事業について教えてください。
「世界最高級のジャパンテキスタイルを使用したハイエンドブランドを世界に発信する」ということをミッションに、TH_READというチームを立ち上げました。TH_READとは、T(TEXTILE)H(HISTORY)_READで、「生地が生まれる一本の糸」という意味が込められています。1本の糸からテキスタイルを紡ぐように、私たちのプロダクトを通して、ファッションの生産工程に関わる、機屋、パタンナー、縫製工場、消費者のみなさまの関係を紡いでいきたい、そして高品質な国産のプロダクトを日本、世界に発信していきたい、という想いを込めています。後継者不足やファストファッションの猛威に、産業は衰退し、20年後には絶滅廃業の危機さえあるといわれる縫製業界ですが、一部の生地屋は、繊細な技術力を武器に欧州のハイブランドへ生地を提供している事実はあまり知られていません。彼らの技術で作られる生地は高級な原料を巧みに操り、日本の風土や職人にしかできない独特の風合いなのです。こうした、世界でも最高水準の国産テキスタイルを使い、ファッションの生産工程に関わるみなさまと共同製作で、100年先を見据えたものづくりを通じて、「世界のジャパンテキスタイル」として日本の縫製業を世界へと発信し続け、100年後200年後も世界に誇れるジャパンテキスタイル技術と歴史を永続させることを目指しています。
計良さんにとって、TOKYO STARTUP GATEWAYはどんな価値がありましたか。
「ブラッシュアップ型コンテスト」というコンセプトが最初は理解しがたく、どのようなものか不安でしたが、事務局側から率先して通過者同士を繋げてくれ、お互いの足りない部分を通過者同士で補い、また助け合っていくという流れを作ってくれたので最初はギクシャクした通過者の仲も徐々に近づき始め、コンペ後には同士としての結束が出来上がりました。また、運営者の方々が紹介してくださった若手起業家の方々の親身なアドバイスや、起業前・起業後の苦難等、滅多に聞けない貴重なお話を聞くことができたのも、大変勉強になりました。起業する、会社を運営する、という本質についての部分を学ぶ事が出来た貴重な経験、通過者同士・メンターの方々と繋がれたことこそ、TOKYO STARTUP GATEWAYに参加して得られた価値でした。運営者の方々とは、今後も良き相談役でありメンターとしておつきあいさせて頂きたいと思っています。
2020年に向けたビジョンをお聞かせください。
モノ作り、洋服作りは一人で完結して作ることが出来ません。糸を作る人、生地を作る人、デザインする人、パターンを製図する人、裁断する人、縫製する人、アイロンをかける人など様々な行程がありますが、ジャパンテキスタイルはもちろんのこと洋服本来の持つ「作り手」の情熱やこだわりを世界へ発信していくことが目標です。「伝える」手段として、定期的な試着会はもちろんのこと、自社のWEBサイトやEC機能、SNSなどをうまく活かし、マスメディアの方々とも連携させていただきながら、また、英語をはじめとした他言語でも発信する場を増やして行きたいと考えています。ITやアプリケーションが増える現代において、「伝える」手段はますます増加していきますが、ゆくゆくは、自らがジャパンテキスタイルを世界へ発信していくメディアとなれるような「ブランド」を確立し、事業を拡大させて行きたいです。2020年には全国各地、欧州、アジアでの試着会を開催し、EC売り上げ8億円を目指します。
昨年度の様子はこちら
PROFILE
計良 陽介さん(2014セミファイナリスト/TH_READ 代表)
TOKYO STARTUP GATEWAY2014セミファイナリスト。幼少期より美術に関心があり、17歳より文化服装学院通信教育でファッションデザイン画を学ぶ。18歳で上京後MASTERMIND JAPANの本間氏に出会い「若い頃よりハイブランドの生地をたくさん触り勉強しないさい」というアドバイスから、当時よりテキスタイルに興味を持つようになる。20歳時に、フランス、パリへ留学しエスモードパリ校に入学。パリコレクションブランド3社で研修。エスモードパリメンズ科卒業後、元DIOR HOMMEデザイナーNICOLAS ANDREAS TARALISに師事。25歳で日本へ帰国。日本企業メンズデザイナーを9年勤め、日本全国の生地屋と開発した素材数は100を超える。2014年、「日本が誇る最高級テキスタイルを、世界へ」をミッションに、世界に誇れる最高級テキスタイルの開発・提案をし続けるチーム「TH_READ」を立ち上げ代表に就任。
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