「ラントリップ」というスタイルの普及で、世界中の道を資源に変える。
大森 英一郎さん(2014ファイナリスト/RUNTRIP Founder)
仕掛けている事業について教えてください。
サーファーがいい波を求めて旅をする「サーフトリップ」のように、ランナーがいい道を求めて旅をする「ラントリップ」というスタイルを普及させたいと思っています。そうすることで、ランナーのニーズを満たしながら、観光業界の課題を解決できると考えます。
国内には1,000万人以上の市民ランナーがいると言われており、無数のランニンググッズやサービスがありますが、ランナー向けのサービスは基本的に「速くなること」を目的としたものばかりです。しかし、記録の更新にはいつか必ず限界がやってきますし、最近では競技力の向上を目的としないランナー層も増えています。今、ランナーには「数字以外の価値観」を与えられるサービスが必要になっています。
また、観光業界ではこれまで、イベントや箱もの観光地化による、時間・場所を限定した局所的な集客が行われて来ました。しかし今、かつての観光地と呼ばれた地域はどこも疲弊しています。Runtripでは、世界中にある“道”を地域のコンテンツ(地域資源)と捉えるため、大型マラソン大会やイベントのような局所的な集客だけに頼らない、持続可能な集客に貢献できます。
その為に、世界中の素敵な道を簡単に検索・投稿でき、世界中のランナーと地域を結びつけるサービスを開発しています。“道”をコンテンツにするというシンプルなプランですが、だからこそ多くの可能性があると考えています。
大森さんにとって、TOKYO STARTUP GATEWAYはどんな価値がありましたか。
抽象的な表現で恐縮ですが、TOKYO STARTUP GATEWAYで貰えた価値は「仲間」と「地図」と「勇気」だったと思います。
まずは「仲間」についてですが、このプログラムを通じて、自分のプランに参加してくれる仲間に出会うことができました。また、異なるジャンルの同じフェーズの仲間達と出会うことで、お互いに悩みや強みを共有できる「相互メンター」の関係性をつくることもできたと思います。この関係はファイナリスト間だけでなく、TSG参加者全体で築けていて、最も価値のあることだと思っています。
次に、「地図」ですが、自分が今どの位置にいるか、目指す場所がどこにあるか、どのような進み方が選択肢にあるかをこの半年間で具体化できました。これは先輩起業家からの視点、参加者同士の視点、事務局の方々のサポートがあったからこそだと思います。
最後に、「勇気」ですが、どれだけ計画を練っても結局は「実際に踏み出すこと」が一番難しいことだと感じています。約半年間のこのプログラムを通じて、応援・共感・指摘・紹介など様々な方法でそのための勇気を頂けました。
TOKYO STARTUP GATEWAYがなければ、今も起業を考えずにモヤモヤしていたと思います。それだけ私の人生に大きな影響を与えて下さったプログラムでした。そして、これで終わりではなく今後も関わり続けたいと感じています。
2020年に向けたビジョンをお聞かせください。
まずは国内の道と国内のランナーを繋ぐサービスを目指しますが、2018年頃までには訪日外国人にも使ってもらえるようなサービスを目指しています。電車や車では体験することの出来ない、地域の隠された魅力を伝えられるサービスになれたら嬉しいです。また、2020年のオリンピックをきっかけに、世界中の道と世界中のランナーが繋がれるサービスを目指します!
昨年度の様子はこちら
PROFILE
大森 英一郎さん(2014ファイナリスト/RUNTRIP Founder)
TOKYO STARTUP GATEWAY2014ファイナリスト。1985年生まれ。リクルートグループを経て、神奈川県内の観光系事業会社にて営業・マーケティング・企画・広報等、集客に関する部門を幅広く担当。行政や商店街・旅行会社などと地域活性にも関わる。また、学生時代に箱根駅伝に出場した経験を活かし、NPO法人ランナーズサポート協会を設立。市民ランナーへのレッスンやランニングイベントなどを開催し、生涯スポーツとしてのランニングの魅力を広めている。2015年5月にスポーツツーリズムの分野で起業予定。
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