INTERVIEW
400文字の夢のつづき 第3回 ~「心の免疫力を上げる!」中高生が心理学を学ぶオンラインスクール~
松尾華香さん(2020レジリエンス賞/オンラインメンタルスクール プシケ 代表)
連載インタビュー『400文字の夢のつづき』は、TOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)出身起業家の皆さんに、取り組まれているプロジェクトや起業までのストーリーをお伺いしていきます。
エントリーを検討されている方、そして、幅広く起業をお考えの皆さんのヒントになるはずです。
また本記事の末尾に、実際にTSGのエントリー時に提出された400文字も特別に掲載していますので、どうぞご覧ください。
第3回目は、松尾華香さんです。
自分らしく生きるため学び、実践する
ー自己紹介をお願いします。
松尾華香です。メンタルヘルスサービスの普及と心理職の地位向上を目指し、中高生のための心理学メソッドが学べるオンラインスクール プシケを運営しています。苦しい学生時代に心理学に出会い、主観的世界の理解により表面的には見えない問題のメカニズムを紐解く視座に感銘を受け、心理士(師)となりました。実際に、300名以上の発達障害児療育、600件以上のオンラインカウンセリング、不登校専門クリニックでのカウンセリングの他、チームマネジメントやHealthTechベンチャーのサービス開発等のキャリアを歩んできました。そして、2020年度ファイナリストとして、コロナ禍のニーズに即したビジネスプランに送られる「レジリエンス賞」を受賞しました。
ー事業について教えてください。
プシケは、困難に対峙しても自分らしく向き合える心のしなやかさ(レジリエンス)を伸ばす心理学的知見と実践を提供しています。心理士(師)が講師を務めるオンラインのグループワークショップで、中高生が同年代とのかかわりを通し、学びと経験が得られるようにしています。内容は、「面白くて、ためになる」をコンセプトに、エビデンスのある専門的内容を基盤に持ちながら、中高生の興味を引く題材で、役立ちそうと思ってもらえるよう心掛けています。「モチベーション向上」「ストレスケア」「コミュニケーションスキル」などのコース別に連続回でワークショップに参加し、同年代のグループメンバーと関係構築をしつつ、ワークショップで学んだことの日常での実践とふりかえりのサイクルを回して、成功体験が詰めるように心がけています。
アイデンティティのメンタルヘルスを武器に再挑戦
ーTSGに参加したきっかけを教えてください。
電車広告を見たのがきっかけでした。「400字からひとまずチャレンジしてみよう」と思えたんです。実は、前年度の広告を見て応募していましたが、そのときは初期で落選しました。私はアンティークや有形文化財など古いものを大切に思っていて、商店街の維持・発展をテーマに事業計画を書いたのですが、言語化できない自分に気づけました。その後、TSGのビジネススクール「スタトラ!」に参加して多くのことを学び、実績作りとして再挑戦を決めました。
コロナ禍にあって、自分の持ち味であり、これまで積み上げてきたアイデンティティであるメンタルヘルスをテーマに応募しました。感染症が蔓延し始めて世の中が警戒心でいっぱいななか、自分自身不調に見舞われながらも書き上げたことをよく覚えています。
ー松尾さんにとって、TSGはどんな価値がありましたか?起こった変化や気づきなどがあれば教えてください。
心理の専門職としてこれまで働いていたので、「私が起業なんて」と口にしづらく感じていました。家族にも応援されないような気がしていたので、家族はじめ周囲の人の理解を得ようと思って受けました。ファイナルステージ以降、身近な人が活躍を喜んで応援してくれました。自分のやろうとしていることは応援を得られることなんだとわかったことは、年齢的にも焦りを感じていた自分としては、何よりも励みになりました。
偏見なく助け合える心の免疫システムの構築
ー今後、実現したい世界やビジョンについて教えてください。
事業のコピーライトとして「心の免疫力を上げる!」を掲げています子どものころからメンタルヘルスリテラシーを学ぶことで、心の問題の複雑化・悪化を防ぎ、メンタルヘルスやメンタルヘルスサービスについて偏見なく助け合える社会的な心の免疫システムを構築することがビジョンです。
ーこれから起業を考えている方や、エントリーを検討している方に向けてメッセージをお願いします!
「DREAMER’S HIGH」がTSG2021のテーマですね。いろいろな起業の仕方がありますが、夢を夢で終わらせず、形にするためには苦悩・苦労が伴います。ただ、まずは描く世界観がなければ始まりません。TSGは、経歴や経営の知見がなくても挑戦可能なビジコンです。夢をしっかりと描けることを重視されるように思います。夢追い人が高みを目指し成長し、高い視座から自分自身や自分の夢と社会を俯瞰して見つめて、精緻化させていく機会とサポートが得られます。自信がない人こそお勧めします。
松尾さんが、TSG2020で実際に提出された400文字がこちらになります!
学校に居場所がないように感じるもののどうしたいかわからない中高生に向け、オンラインで障壁を超えて成長機会を提供し、自己実現をサポートをします。カウンセリング・キャリアデザインやコミュニケーションスキルのクラス・社会人交流会等を通じ、自己理解を深め自分らしい生き方・働き方の発見を目指します。 年間不登校中高生は約16万人いますが、全員が何らかのサポートに辿り着いているとは思えません。辿り着いても多くが卒業資格取得がゴールで、卒業時40%は進路未定です。近年IT人材育成を目指す学校法人等も設立しましたが、そこに辿りつく子どもは自己決定できていると言えます。学校に行けなくなった時は本人も理由がわからずどうしたらいいか分からないまま登校しなければと苦しみます。不登校前からのサービス認知が重要です。病院、塾、学校等との提携、子育て世代が多い企業の福利厚生の一環として導入で、セミナー等を通しPRします。学校に行けなくても拠り所がある社会を創ることもまた重要なミッションです。
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[ PROFILE ]
松尾華香さん(2020レジリエンス賞/オンラインメンタルスクール プシケ 代表)
2020年度ファイナリストとして、コロナ禍のニーズに即したビジネスプランに送られる「レジリエンス賞」を受賞。メンタルヘルスサービスの普及と心理職の地位向上を目指し、中高生のための心理学メソッドが学べるオンラインスクールを運営している。 苦しい学生時代に心理学に出会い、主観的世界の理解により表面的には見えない問題のメカニズムを紐解く視座に感銘を受け、心理士(師)となる。300名以上の発達障害児療育、600件以上のオンラインカウンセリング、不登校専門クリニックでのカウンセリングの他、チームマネジメントやHealthTechベンチャーのサービス開発等のキャリアを持つ。
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