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INTERVIEW
出生前検査の専門家へのアクセスを身近に、正しい相談支援を提供する

西山 深雪さん(2021ファイナリスト/株式会社PDnavi 代表取締役社長)

昨年度から始まりました 連載インタビュー『400文字の夢のつづき』。
2022年度は通年でTOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)出身起業家の皆さんに、
取り組まれているプロジェクトや起業までのストーリーをお伺いしていきます。
エントリーを検討されている方、そして、幅広く起業をお考えの皆さんのヒントになるはずです。
それでは、西山 深雪さんのインタビューです。

 

大好きな仕事である「出生前検査を専門にする遺伝カウンセラー」。

ー簡単に自己紹介をお願いします。

株式会社PDnavi 代表取締役社長の西山 深雪です。
京都大学大学院医学研究科で社会健康医学系の博士課程を修了し、同じ年に認定遺伝カウンセラー®も取得しました。外資系検査会社にて出生前診断技術を学んだ後、2013年に国立成育医療研究センター周産期・母性診療センターに入職。遺伝カウンセラーとして、出生前検査の遺伝カウンセリングや研究に従事しました。
2022年2月に同センターを退職し、翌3月に株式会社PDnaviを設立しました。

 

ーちなみにプライベートではどんな方ですか?生活スタイルや好きなものについてぜひ教えてください!

「出生前検査を専門にする遺伝カウンセラー」という仕事が大好きで、出産するまでは自宅で関連する論文を読んだり、原稿や論文を執筆したりして地味に過ごしていました。趣味も生け花くらいで、モグラのようなインドア派でした。

子どもが生まれてからは、一転して外にいる時間が多くなりました。休日は、天候が良ければ3人の子どもたちと一緒に公園で遊ぶことが多く、平日よりも肉体的に疲れます。子どもたちと遊んでいる間も、頭の中は患者さんに見せるスライドの構成を考えたり、仕事のことでいっぱいです。考えたことは忘れないうちに、すきま時間にメモを取るようにしています。
雨の休日は大変です…元気があり余っている子どもたちと終日自宅で過ごすことが多いので。子どもたちが平和に遊んでいる時間に、こっそり?パソコンに向かっています。

遺伝カウンセラーとして社会を変えたい。

ー今、仕掛けている事業のミッションや活動内容を教えてください。

2022年3月に、出生前検査サポート・コンサルティング事業を行う株式会社PDnaviを設立しました。晩婚化・晩産化による少子化が進む中で、すべての妊婦さんが出生前検査の情報を正しく理解し、納得した上で安心して出産できる社会の構築に寄与したい、という思いから「安心して出産を迎えられる社会の実現を」をミッションに掲げています。

具体的な内容ですが、全国の妊婦さんが出生前検査について気軽に相談でき、正確な情報にアクセスできる環境を生み出すために、デジタルコンテンツ販売による情報提供、妊婦さんへの遠隔健康医療相談(オンラインカウンセリング)である「出生前検査ホットライン」、医療機関や行政・検査会社等への研修・コンサルティング事業を提供しています。

 

ー取り組まれている事業・プロジェクトをやりたいと思ったきっかけを教えてください。

ある妊婦さんの「出生前検査について悩んでいるなら、みんな遺伝カウンセリングを受ければいいのに」という感想が原点です。

出生前検査を「受ける」「受けない」の決断は、妊婦さんとご家族が命と向き合って悩み抜いた上での選択ですが、その過程で出生前検査に関わる正確な情報や相談支援へのアクセスは容易ではなく、都内でも出生前検査に精通した医師は限定的です。

妊婦さんの中には、誤った情報に振り回されて精神的に追い詰められた方もおられ、私自身、とても辛い思いをしたこともありました。こうした経験から、妊婦さんにとって正確でわかりやすい相談支援ができるよう、出生前検査の専門家へのアクセスが身近になる環境の必要性を感じ、現在の事業を考えました。

ー西山さんの人生において、TSGはどんな価値がありましたか?起こった変化や気づきなどがあれば教えてください。

TSGに応募するまで、「起業したい」などと思ったことは全くありませんでした。ただ、勤めていた産科診療施設で妊婦さんやご家族への遺伝カウンセリングに関わる中で、医療機関で行うカウンセリングに限界を感じてはいました。気軽に出生前検査のことを聞ける専門家にアクセスすることは難しく、その一方で営利目的の無資格施設が増えている現状を憂慮してもいました

でも特に具体的に何かできるわけではなく、漠然と「妊婦さんが気軽に出生前検査の専門家にアクセスできる仕組みがあればいいのに」などと思っていたところ、偶然、山手線内の広告でTSGについて知りました。出生前検査のカウンセリングにどれだけの社会的ニーズがあるのか気になり、TSGに応募してみることにしました。

思いがけず選考が進む過程で、「もしかすると自分で事業を始められるかもしれない」と考え始めました。選考の中で、具体的な質問をいくつも投げかけられ、漠然としていた事業のプランがどんどん具体化していきました。TSGの広告を見ていなければ、私が株式会社PDnaviを設立することはなかったので、まさに人生を変えてくれたと思っています。

出生前検査の正確な情報にアクセスできる環境をつくる。

ー今後実現したい世界やビジョンがあれば教えてください。

厚生労働省が昨年、全ての妊婦さんに出生前検査の情報提供を行うとの方針転換を示しました。それを踏まえて、「出生前検査の専門家へのアクセスを身近に、正しい相談支援を。Produced by Genetic Professionals」をビジョンに掲げ、全国の妊婦さんが正確な情報や専門家にアクセスできる環境をつくっていきたいと思います。

 

ーこれから起業を考えている方や、TSGのエントリーをされる方に向けて、メッセージをお願いいたします。

去年の今頃は、起業なんて全く考えていませんでした。世の中を変えていきたい思いを、ぜひ400字にまとめてみてください。それが起業への第一歩につながります。もしかすると私のように人生が変わってしまうかもしれません!

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[ PROFILE ]

西山 深雪さん(2021ファイナリスト/株式会社PDnavi 代表取締役社長)

認定遺伝カウンセラー® 。京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 博士後期課程修了。博士(社会健康医学)。外資系検査会社にて出生前診断技術を学んだ後、2013年に国立成育医療研究センター周産期・母性診療センターに入職。遺伝カウンセラーとして、出生前診断の遺伝カウンセリングや研究に従事。2022年2月に同センターを退職し、同年3月に株式会社PDnaviを設立。著書に『出生前診断』(筑摩書房)など。2男1女の子育て中

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