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INTERVIEW
400文字の夢のつづき 第10回 ~ケアを必要とする人々の人生に永く寄り添う服づくり~

笈沼 清紀さん(2019オーディエンス賞/株式会社ケアウィル 代表取締役)

連載インタビュー『400文字の夢のつづき』は、TOKYO STARTUP GATEWAY(TSG)出身起業家の皆さんに、取り組まれているプロジェクトや起業までのストーリーをお伺いしていきます。

エントリーを検討されている方、そして、幅広く起業をお考えの皆さんのヒントになるはずです。

第10回目は、笈沼 清紀さんです。

 

実体験から、デザインと機能を兼ね備えたケア衣料の開発へ。

ー自己紹介をお願いします。

新卒で日本総合研究所にてITコンサルティング、SMBC日興証券にてM&Aアドバイザリーに従事し、楽天に入社。ケンコーコムへ出向、執行役員として事業マネジメントに従事しました。その後は、ジンズ(メガネのJINS)執行役員として経営企画、事業開発を管掌、KDDI革新担当部長としてEコマース戦略立案・実行に従事。マネジメントの傍ら、父とともに認知症による13カ月間の入院、5年の介護、20年の闘病の日々を過ごしていましたが、そこで提供された商品・サービスに違和感を抱き、父の死後、デザインと機能を兼ね備えたケア衣料の開発を服飾講師である母と開始しました。2019年9月に、株式会社ケアウィル(carewill)を設立しています。

ー事業について教えてください。

まずはcarewillのミッションですが、ユーザーの意思を第一に尊重し、機能美と普遍性があるデザインとともに、服の不自由を解消するための今までにない新しい価値を持つ製品とサービスを創造します。ケアを必要とする人々の人生に永く寄り添うことを目指し、服づくりを通じて社会にある境界線をにじませることに挑戦します。

具体的には、ユーザーと共に、介護・リハビリ・医療の従事者、デザイナー、服の作り手(パタンナー、個人縫製者、工場)といった各領域のプロフェッショナルが「服の不自由」という共通の課題を解決するために協働し、ものづくりを行っています。開発された製品は、自社のブランドサイト(国内、海外向け)とクラウドファンディングで販売しています。

想いとアイデアをソトへ表現し、覚悟と社会的大義が定まった。

ーTSGに参加したきっかけを教えてください。

父の死後、事業構想をしていた時に、偶然、山手線車内でTSG2019 のポスターに出会ったことがきっかけです。私のnoteに詳しく書いていますので、ぜひご覧ください。

ーTSGに参加されて、どのような出会いがありましたか?

強い想いとアイデアに溢れた応募者、互いに刺激し合い助け合える仲間、信頼できるメンターとの出会いがありました。例えば、今でも当社事業を強力に支援してくれている一門さんはTSG2019ファイナリストであり、メンターとして紹介頂いたファクトリエの山田代表は良きアドバイザーです。

 

ー笈沼さんにとって、TSGはどんな価値がありましたか?起こった変化や気づきなどがあれば教えてください。

想いとアイデアを外へ表現する機会をいただけたことに感謝しています。選考を通じ「なぜ自分がやらないといけないのか?」「どんな社会を実現したいのか?」「本当にそれをやり抜く意思があるか?」を問われ、それを他者へ伝え、フィードバックをもらい、思考を深くすることができたので、創業の覚悟が徐々に育まれ、社会的大義も定めることができました。

「服の不自由」解消への挑戦。

ー今後、実現したい世界やビジョンについて教えてください。

世の中にあるすべての「服の不自由」を解消するための挑戦を続けます。

ーこれから起業を考えている方や、エントリーを検討している方に向けてメッセージをお願いします!

TSGは、組織、物、資金、サービスなんて何もないアイデア段階においても、自分に強い想いさえあれば、東京都とETIC.、サポーター、そして応募者である仲間たちが、事業化を応援し、その具体化へ向けて伴走してくれるプログラムです。自分の気持ちの中で何か引っかかること、どうしても諦めきれないこと、ワクワクが止まらないこと、泣きたいぐらい悔しかったこと、社会への義憤、それらが少しでもビジネスに関わるものであるなら、まずは400文字にその思いを吐き出して応募してみることを僕は強くお勧めします。

最初の400文字

笈沼さんがTSG2019で提出した、最初の400文字は、こちらとなります!
是非皆さん、TSGにエントリーする際に参考にしてみてください!

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高齢患者の尊厳を守り、心を前向きにするデザイン・色・着心地を兼ね備えた「病衣」をネットで販売。介護を行う家族の負担を減らすため、地域の病院・施設、クリーニング業者と連携、低価格の病衣レンタルサービスへ進化させます。 私の父は認知症を6年間患い今年1月に75歳の生涯を終えました。病院で与えられた「病衣」は無機質でまるで囚人服。原価、耐久性、介助者目線の機能が最優先され、「人に見せたい」「装って外へ出かけたい」という着用者の心を蔑ろにしていました。 一方、病衣を選ばざるを得ない現実も。服飾講師の母は2か月間、片道40分のバスを乗り継ぎ、父が好む袖とウェストを仕立て直した服を病室まで届けて回収し続けました。しかし、最期は体力が伴わず1日400円のレンタル病衣を依頼。長期入院で家族の経済的負担は増えます。 高齢化先進国の日本。高齢患者と家族の物心を豊かにする病衣と、家族のつながり、尊厳ある生活を“諦めさせない”サービスで、世界市場も開拓します。
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[ PROFILE ]

笈沼 清紀さん(2019オーディエンス賞/株式会社ケアウィル 代表取締役)

新卒で日本総合研究所にてITコンサルティング、SMBC日興証券にてM&Aアドバイザリーに従事し、楽天に入社。ケンコーコムへ出向、執行役員として事業マネジメントに従事。その後は、ジンズ(メガネのJINS)執行役員として経営企画、事業開発を管掌、KDDI革新担当部長としてEコマース戦略立案・実行に従事。マネジメントの傍ら、父とともに認知症による13カ月間の入院、5年の介護、20年の闘病の日々を過ごす。そこで提供された商品・サービスに違和感を抱き、父の死後、デザインと機能を兼ね備えたケア衣料の開発を服飾講師である母と開始。2019年9月(株)ケアウィル設立。

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